日本水泳ドクター会議・トレーナー会議中部・北信越・東北・北海道ブロック研修会参加報告

【日時】令和3年2月13日(土)

【会場】Zoomでのオンライン開催

【参加者】37名(ドクター:15名、トレーナー:22名)

 

〈内容〉

1.「トレーナーの先生方にも知ってほしいアンチ・ドーピングの基礎知識」

 「私が医事帯同の際に気を付けている感染対策」

 日本水泳ドクター会議、日本水泳連盟アンチ・ドーピング委員、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

新潟県立中央病院 小児外科医 村田大樹先生

2.「女性アスリート特有のサポート」

 日本水泳ドクター会議

 さとこクリニック 院長 井上聡子先生

3.「ジュニア競泳選手のコンディショニング」

 日本水泳トレーナー会議

 新潟医療福祉大学 健康スポーツ学科

 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、柔道整復師

 三瀬貴生先生

 

〈研修会を通しての報告〉

令和3年2月13日に日本水泳ドクター会議・トレーナー会議中部・北信越・東北・北海道ブロック研修会が開催されました。最初の講演はドクター会議の村田大樹先生から「トレーナーの先生方にも知ってほしいアンチ・ドーピングの基礎知識」、「私が医事帯同の際に気を付けている感染対策」の2演題を講演して頂きました。ドーピングに関する基礎知識から始まり、日頃から選手に接している中で選手に対して我々が提案する事柄についての注意事項などのお話もありました。サプリメントに関する注意事項や医薬品に対して同じ製品名でもタイプが違うものはドーピング違反になる薬品が入っていることもあるといった非常に日常的でかつ極めて注意を要する話などがあり改めて気が引き締まる思いでした。また、村田先生自身の帯同経験の講演もあり帯同時の適切な事前準備、選手への感染防止の啓発、現地での対応により胃腸炎罹患者がゼロであったという報告を聞き、改めて十分な準備と適切な対応を心掛ける重要性を再認識しました。

 続いて同じくドクター会議の井上先生からは女性アスリートに対してのサポートに関してご講演頂きました。女性選手の月経に関する諸症状の基礎知識、それに対する産婦人科医としての対応をお話しいただきました。女性アスリートには月経周期に応じた生理的な変化や身体機能の変化がありそれを考慮した身体的・心理的サポートが必要と強調されておりました。また、ジュニア世代をサポートするにあたり初経がしっかり来ているのかは非常に重要であり、なかなか現場の監督などに言い出せないケースがあるため我々トレーナーが直接的にコミュニケーションをとったり、アンケートなどの形式で女子選手の状態を確認することなどの対応も必要なのではと感じました。

最終セッションはトレーナー会議の三瀬先生からジュニア競泳選手のコンディショニング-肩関節障害に着目して-ということで講演頂きました。三瀬先生がジュニア選手の泳動作時の肩甲骨挙動とインピンジメント症候群の関連について研究してきたデータを公表頂きました。ジュニア競泳選手は男子と女子で柔軟性の面などで身体特性が異なっていることなど新たな知見を提示いただきました。非常に学術的な内容で我々が現場や診療で考えていることとデータが一致しているところがあり、改めて日頃感じていることを継続的にデータに落とし込むことで選手、コーチへの障害予防啓発につながるのではと強く感じました。

以上先生方の講演を今後のトレーナー活動に生かしながら、選手へより良いサポートができるよう精進してまいりたいと思います。

 最後にご講演・座長をして頂いた先生方、スタッフの方に感謝申し上げます。これからも対面での研修が厳しい日々が続くと思われますが、オンラインなどを駆使することで今まで参加しにくかったブロックにも参加しやすいというメリットもあると思います。今後も多くの方に参加いただけるような活動となることを切に願い、報告とさせて頂きます。

 

文責:こん整形外科クリニックリハビリテーション科 中村拓成